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┗135008.【ギリ連作短編(予定)小説】黒猫は知っていた

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1:かずなり◆mBt2uYapEo
02/03 19:21

どうも…僕だ!(迫真の演技)
はい。『黒猫は知っていた』という小説を執筆させて頂きます。
筆者は短編の長さもよく分かっていないレベルで未熟ですが、楽しんで頂ければと思います。
なお、タイトルがどういう意味なのかは明言致しませんので、御了承下さい。

○稚拙な文章になると思いますが、面白いなあと思って頂ければ幸いです。
○他に書いているものがあるので、更新頻度は遅め。非力な私を許してくれ…。

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MiiverseNEO

Twiiter...@Kazunari020511

【目次】
>>2 プロローグ
>>3-12 第1話


画像(JPG) 9KB
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2:かずなり◆mBt2uYapEo
02/03 19:58

プロローグ【青天の日に】

空は、蒼かった。雲は、白かった。僕の手は、さっきまでとても紅かった。
…だが今は全部、全部黒く見える。今まで色彩を生み出していた光は、僕の前から見えなくなってしまった。

嗚呼…遠くから足音が聞こえる。遠くからケラケラと僕を嘲笑う声が聞こえる。
足音はだんだん大きく聞こえやがて止まったが、笑い声はそれからもしばらく聞こえていた。
そして、笑い声が消えた。地面に倒れた僕の目の前から、一人の男の声が聞こえる。
「あぁ、下らない…じぃつぃにぃ、下らないねぇ。俺から逃げるのに必死になっちゃって…どう足掻いても俺の手からは逃げられないの、知ってた癖に」
そう言って再び笑い始めた男を、今の僕ではどうすることもできなかった。身体中から力が抜けていく。
「…そうだ、面白いものを見せてもらったし、お前にひとつチャンスを与えよう。精神を別の【モノ】に移し延命させる…そんなチャンスをね♪まあ、拒否権なんて無いんだけど」
息ができなくなっていく。心臓の鼓動が脳に伝わる。
薄れていく意識の中、最後の力を振り絞って僕は声を発した。
「き…みは…い…たい」
「…死神、さ♪」
瞬間、僕の口から生温かい何かが大量に溢れ出した。
男の笑い声が、脳内で木霊していた…。

プロローグ 完

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3:かずなり◆mBt2uYapEo
02/03 20:36

第1話【黒猫は何も教えてくれない】

小鳥のさえずりと木々のざわめきが聞こえる。青い空に、眩い程の光の点が世界を照らしている。
綺麗に整備された交差点の近くにある公園、そこで一匹の猫が丸まっていた。その猫の毛並みは、耳から尻尾の先端まで全て黒い。
「あっ…猫だ」
一人の少女の声が、琥珀色の瞳を開かせた。長い黒髪を後ろでひとつに結んだ少女は、近所にある高校の制服を着ていた。
少女は、公園の猫に近づくと、その頭を優しく撫で始めた。
「お前は良いなあ…何も考えず、そこで一日中のんびり過ごせるんだから」
少女は猫を抱き上げると、公園のベンチに腰を下ろした。猫は鳴き声ひとつ出さずに、ただ少女をじっと見つめていた。
「少しで良いからさ…私の話、聞いてくれる?」
「…ニャ」
猫は小さく鳴くと、少女の膝元にちょこんと座り直した。

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4:かずなり◆mBt2uYapEo
02/03 22:58

猫の仕草に、自然と少女は微笑みを浮かべていた。可愛いなあ…と呟きながら、再び彼女は猫を撫で始めた。

猫が嫌がってベンチの脇に移動するまで、少女は撫で続けていた。「ごめんごめん…」と少女は苦笑すると、猫もそれが分かったのかゆっくりと少女の膝元に戻った。
琥珀色の瞳が少女の黒い瞳を捉える。少女には猫が何を望んでいるのかなんとなく分かった気がした。
「実は私ね…孤立してるんだ。クラスの女子からありもしない噂立てられて、それを聞いた生徒がみ〜んな私から距離をとり始めちゃったの。誰も事実を確認せず、まるで私が最初から見えていないように無視して…ってあれ?」
気づけば、少女の膝元にいた筈の猫はいつの間にかいなくなっていた。
「どこにいったんだろう…」
ベンチの下や滑り台の上など色んなところを見て回ったが、猫が見つかることはなかった。

少女が公園に入って1時間が経過した。太陽は紅い光を生み出し、山々に身を隠そうとしていた。
少女はあれから公園中をずっとあの猫を探し回っていた。だが、猫は全く見つからなかった。
「課題もあるし、もう帰らないと…」
はぁ…とため息をついて鞄を持ち上げようとベンチに近づき−−
「…ニャー」
ガサガサという草むらの音とともに、猫は少女の前に飛び出してきた。

(iPhone/Nin 3DS)
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5:かずなり◆mBt2uYapEo
02/04 21:13

その黒い毛並みには何枚か小さな葉が付着していた。足には泥もこびりついている。
「今まで何処に行ってたの…」
手で軽く葉っぱを払っていると、猫が何かを口に加えていることに気づいた。
「もしかして、私に…?」
猫はなんの反応も示さず、ただ少女をじっと見つめている。
少女は猫の前にゆっくりと手を差し出した。すると、猫は加えていた物を少女の手に置く。
「これ…お守り?私の為に探してたの?」
「ニャ」
白い布地で作られたそれには、『交通安全』と言う文字と少しの泥が付いていた。猫の尻尾が左右に揺れている。その仕草が、まるで感想を求めている子供の様に見えた。
「交通安全って…でもありがと。まさか猫に慰められるとは思わなかったよ」
苦笑しながらも、少女は猫の頭を何度も撫でた。猫は今度は嬉しそうにそれを受け入れた。

少女と猫とのふれあいはその後しばらく続いた。具体的に言えば、空の色が濃紫色に変わり、巡回していた警察官に注意を受けるまでである。その頃には、少女の顔にあった曇りは既に消えていた。

(iPhone/Nin 3DS)
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6:かずなり◆mBt2uYapEo
02/04 23:02

次の日の、午後4時頃。夜の間に作られた小さな水溜まりが日の光を受けている。
交差点近くの公園の中、一匹の猫が歩行者信号を見つめていた。赤に灯っている信号の下、制服を着た少女がビニール袋を持って佇んでいる。
それは、昨日公園で猫と戯れた少女だった。信号が変わり、横断歩道を渡る彼女の足取りは心なしか以前より軽く見える。
「…あ、やっぱり居た!」
少女はベンチで座っていた黒猫を見つけると、笑顔でベンチに近寄った。猫は鳴かずにただ少女を見つめていた。
少女がベンチの前まで来て腰を下ろし、そこで初めて「ニャア」と鳴いた。
「よしよし…ちょっと待っててね」
昨日と同じように片手で頭を撫でながら、少女はビニール袋からブラシをひとつ取り出した。そして、猫を抱き上げ膝元に座らせると、背中を中心にブラシで汚れを取った。
昨夜の雨の影響だろう、猫の体が少し濡れていたので、少女は鞄から白い無地のタオルを取り出して拭き取り始めた。しかし、少女が強く拭きすぎたからか、猫は嫌がって膝から地面へと飛び降りてしまった。
「あ…ごめんごめん、昔飼ってた犬と同じようにやっちゃった」

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7:かずなり◆mBt2uYapEo
02/07 22:41

猫はそれを聞くと、渋々ながらも少女の元へ戻る。濡れたままの状態は、猫にとってもあまり良い気分にはならないらしい。
少女はさっきよりも力を弱めて猫を拭いた。今度は猫がそれを嫌がることは無かった。

夕暮れの光が、至るところを照らしている。風も吹いておらず、木々達は静かにその葉を落とす。
「…あ、もうこんな時間だ」
少女は拭き終わった後、また猫を撫でたり話を聞いてもらったりしていた。
話を聞いてもらっていたといっても、当然返事が返ってくる訳でもなかった(ニャアとしか言わなかった)し、端から見ればどう見ても悲しい人に見えてたよね…ハハ。
心の内で自嘲しながらも、少女はビニール袋とタオルを鞄にしまって帰り支度をした。
「じゃあそろそろ帰るね、また明日−−」
「…ッ、ニャア!!」
帰る挨拶をして公園の出口へ足を進めようとしたその時だった。背後から猫の、とても強い鳴き声を聞いた。今さっきまでふれあっていた猫だろうとすぐに察しがついた…が、今聞いた声の迫力は、さっきまで聞いていたそれとはまるで違った。
「な、何!?」
突然のことに少女はびっくりして振り返った。そこから見える黒猫はちょこんとベンチに座っていて、いつもと変わらない。いたって普通だ。
猫は何も言わず、初めて会ったときのようにじっと少女を見つめている。風が木々を、猫を、そして少女の頬を撫でる。ざわざわ…と沈黙の空間の中を木々が音を響かせた。

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8:かずなり◆mBt2uYapEo
02/08 22:49

「もしかして…心配してる、とか?」
少女の言葉に対して、猫は何も言わなかった。反応を肯定と捉えたのだろう、少女は猫に微笑みかけ、
「大丈夫よ、あなたのおかげで多少は楽になったから。また明日、会おうね」
とだけ言って公園を去っていった。

猫は少女の後ろ姿が遠のいていくのを見届けると、一度遠くの信号機を確認してから、少女が出たところとは反対側の出口から去っていった。

………キキィィィ、ドンッ。

鈍い音が交差点で響いた。車道という灰色のパレットに、赤い液体が広がっていく。
そのパレットの上には、一人の少女の死体がひとつ、転がっていた。無造作に投げられた紺色の鞄は、片側が赤く染められて、開けられた口から様々な物が飛び出していた。そしてその近く、少女のポケットからは、所々が真っ赤になった白いお守りが顔を出していた。

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9:かずなり◆mBt2uYapEo
02/08 23:16

赤く染まったステージを、紅いスポットライトが照らしている。ここぞとばかりに木々達は騒ぎ立てるのを止めてしまった。その様子をここから見ていると、まるで舞台の一場面を切り取ったかのような錯覚を起こしてしまいそうだ。
もしこれが舞台のシナリオならば、今はさしずめ、悲劇の一場面といったところだろう。
「嗚呼、悲しい…実に悲しいネェ」
ケラケラと嘲笑う声と、革靴特有の足音が響く。僕は声のする方を振り向いた。
紅く光る太陽とは反対、丁度交差点の東側から男は歩いてきた。
コツン、コツン、コツン…。足音が響く度に、紅い世界からその色彩が失われていく。
男が少女の元に辿り着いた時には、世界のほとんどは灰色に包まれていた。色を持っていたのは、男と、僕と、もう動かない彼女だけ。
「不運だったねぇ…君も、そこで傍観しているお前も」
男は灰色の水溜まりを平然とした様子で歩いて少女の顔の前まで近づき、そしてそれを覗き込んだ。僕は、ただ見ることしかできなかった。
「だが…どんな奴にでも死は平等に訪れる。そして俺は、そいつらの魂を狩って、その一部を喰らう。こんな風に…ね!」
男は狙いを定め、その右手で少女の左胸の辺りを貫いた。少女の体が小刻みに震える。光の無い瞳が大きく揺れる。

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10:かずなり◆mBt2uYapEo
02/14 22:44

(あ、やめ−−)

………グチャアッ。

血飛沫が上がった。男が手を入れてから直感的にマズいと思って駆け出したが、全然遅かった。
胸元を裂いて現れた男の右手には、淡い橙色に光る丸い何かが握られている。僕には…とても甘く、美味しそうな果実のように見えた。

「…み・い・つ・け・た♪」

嗚呼、嗚呼。生き物のようにうねる灰色の血液も、歪んだ笑みを浮かべた黒い装束の男も…全てがスローモーションのように動いている。ここまで瞳を凝らすのは生まれて初めてだ。間違いない。
ケラケラと笑いながら男は果実を半分程貪った。果汁みたいなものは特に出ていなかったように見えたが、男は左の袖で口を拭くような動作をして見せていた。その時の口もやはり、笑みがあった。



そして、笑いは止んだ。不協和音は消え去った。男は長い息を吐いてから、ずっと黙っていた。右手には、果実の半分が握りしめられていた。
「ところでさ」
男は口を開いた。僕は、警戒しながらもゆっくりと近づいた。
「お前、バカなの?あの娘助けたかったのならちゃんと声にしないと駄目だろう、んん?」
(…僕、は)
「あぁそっか、猫って言葉話せないんだっけ?はぁ、つっかえね…これじゃあ、あの娘についてひとつも聞けねぇじゃん」
男は、大層残念そうに天を仰いだ。

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11:かずなり◆mBt2uYapEo
02/16 22:38

「まあ…一部始終は見てたんだけどな」
口をニヤつかせながら懐からタバコを取りだし、手をパチンと鳴らす。その衝撃で付いた火を大事そうにしながら、男はそれを口に加えた。

「言葉って、下らないよな」
ゆっくりと煙を吐きながら、男がボソリと呟いた。その口元から笑みは消えていた。
「言葉には力がある。誰かが『コイツなんか居なければ』と喚けば、それを聞いた運命のイタズラとやらが意図せず叶えてしまう。そんなこと本当は誰も望んでいる訳じゃないのに。全く…だから人なんてものは」
男はそこまで言って、そして続きを言うことを止めた。再び左手に持ったタバコを口に加える。その目は僕ではなく、ずっと少女の方に向いていた。

「さて…そろそろ俺は帰るとするよ」
そういうと、男は口に加えたタバコを手に取り、さっきから右手で光を放っていた魂の半分をまじまじと見つめ始めた。
「これは俺がきっちり冥土に送るから安心しろ………おいおい、そんなに信用無いか俺は?」
男は苦笑しながらも、僕を嘲るような視線を送った。
僕はさっきまでの男の行動をずっと見ていた。彼とは先程会ったばかりだが、その性格は少なからず理解した…つもりだ。男が本当にそれを大事に扱うのか、流石に疑った。
ちらっと太陽を確認してから、男はタバコを近くの電柱に擦り付けて、ふと呟いた。
「俺思ったんだけどさ…黒猫って、人の死相が見えるらしいじゃないか。その中でもお前は未来を変えようと頑張った訳だろ?健気だなぁ、凄いなぁ…って」

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12:かずなり◆mBt2uYapEo
02/17 22:39

(…だから何?)
挑発するような言い方に僕は苛つきを覚えた。
それが分かったのだろう、男は溜め息を吐いてから、
「これでも褒めてるつもりなんだがなあ…」
とぼやいて、そしてタバコを地面に放り捨てた。
灰色の空間の中、黙れば静寂のみが漂う世界の中、太陽だけがゆっくりと地の下に眠ろうと動いていた。
その様子を確認すると、男は僕の方を向いて言った。
「まぁいい。こっちとしては人の生活を見るなんざ退屈でしかないんだ…俺を楽しませてくれる程には、頑張ってくれよ?」
静寂の世界。その中で、またケラケラという笑い声が木霊し始めた。
革靴の足音がひとつ、ふたつと響く。男は、元来た方向へと歩き出した。
コツン、コツン、コツン…。靴の音が聞こえる度、世界は再びその色を取り戻していく。

男の姿が小さくなっていく。世界が完全に色を取り戻し人々の喧騒が聞こえてくるまでの間、僕はその姿をただただ見ていた。
「…キャアアア!!誰か、救急車呼んできて!!」
「おい君!大丈夫か、しっかり!!」

他人よりかは色んなことを知っているのに、何もすることができない自分。何も知らないけど、少女のためにすることができるこの町の人々。
…彼らを眺めていると、何だかここはとても息苦しいなと感じた。僕は周囲の誰にも気付かれず、息苦しさから逃げるように、その交差点から去っていった。

人々の喧騒に、木々のざわめき。なんというか、今の僕にはそれが全て自分の敵であるような気がしてならなかった。特に、あの少女に対してはとても申し訳無く思ってしまって…。
だから、僕がその公園に行くことは、それ以来なくなってしまった。

(…ごめんね)

第1話 完

(iPhone/Nin 3DS)
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