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┗122325.悠久の眠り 第一節

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1:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
12/31 16:36

この物語はプロローグを経て読んでいただくとより一層楽しめると思われます
ぜひプロローグもお読みください。

プロローグ
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未完成

感想スレ
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スローペーサーのスロースターターですがよろしくお願いします。

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99:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/16 23:07

下を向くと地面との距離がものすごい速さで縮まっていた。恐怖を感じたが「エルドが助けてくれる」と根拠のない信頼で隠した。
するとエルドが僕に叫ぶ。
「身を縮めて!!」
エルドの声は風の音を切り裂いて僕に伝わった。反射的に指示に従った。
僕は両膝を閉じた。脇を締めた。背中を丸めた。目を瞑って祈った。
「ありがとう。」
僕とエルドとの距離が縮まったからか囁くようなエルドの声がはっきり聞こえた。僕は薄く目を開いた。
瞬間、エルドが一瞬で低い体制になった。視界の端でやっとエルドの長い髪が確認できるほどだった。

(iPhone/Nin 3DS)
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100:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/16 23:26

地面に叩きつけられるタイミングで僕は何かに背中と腰が触れた。
僕の視界が横に動く。その少しあとに重力が僕を襲った。だが体に異常はない。一つ感じたのは引きずるような感覚。僕が視線を下に向けると感覚の理由が分かった。
エルドはスライディングしながら僕を抱えていた。古びたマントがなびいていた。
少し滑ったあとエルドは止まった。エルドの顔を見ると笑顔だったが、それは作っているものだとすぐに気付いた。
「…なんとか間に合って良かったよ…。」
エルドは表情を作ったまま僕に話した。

(iPhone/Nin 3DS)
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101:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/17 01:11

「さて、あれを抑制しようか。」
エルドは膝に手をつき立ち上がった。そのとき僕は見た。
エルドの背中は酷い怪我をしていた。当然だろう。背中がつかない体制でスライディングしても僕が乗ったことによって背中はついてしまう。そしてそのまま舗装された地面に引きずったのだ。中に来ていた服が破れ、背中の流血は見るに耐えない。
「マントを擦らないようにしててよかったよ。傷は治っても服は治らないからね。」
そうは言っているが苦しそうだ。不老不死とはいえ痛みまで消えるわけではない。実際に僕が体験していることだ。

(iPhone/Nin 3DS)
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102:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/17 01:19

するとエルドが大きく咳込んだ。エルドの大きな手を見ると、指の間から血が流れていた。吐血していた。
「やっぱり腕力だけじゃ勢いは殺せないね…。内臓をいくつか潰したかな…。」
エルドは時間短縮のために自分を殺した。治るから怪我をしてもいいというわけではない。痛いし苦しい。
「エルド…すまない…。」
僕はエルドに頭を下げた。自分が助かることばかり考えていた。エルドは恐らくこの結果を予測できていた。それでも笑顔を見せて、僕を無傷で済ませた。
人外の能力を持つ大男は人間より人間だ。

(iPhone/Nin 3DS)
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103:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/17 01:26

エルドは大きく息を吸った。そして目をはっきりと開いた。
エルドは僕に話しかける。
「よし!怪我は治ったよ。今からが本番だ。軽く作戦を言うね。」
背中を隠すように古びたマントを羽織りながらエルドは話した。自然な笑顔だ。
「まず僕があの少年を撃つ。いつ少年があの教師を刺すか分からないからね。少年が離れたらなるべく遠くに教師を君が運んでくれ。その後二人で少年追い討ちをかける。」
エルドの作戦は単純だが、それぞれの腕に懸かっているものだった。僕は比較的安全な役割だが人を守るという責任は安いものではなかった。

(iPhone/Nin 3DS)
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104:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/17 01:37

「じゃあ準備はいいかい?作戦開始!」
エルドがそう大声を出した瞬間、エルドはマントに手を入れ、中から銃を取り出した。形状はいわゆる回転式拳銃、リボルバーだ。エルドは拳銃がとても似合った。
エルドは片手で拳銃を構えると三発撃った。学校に銃声が鳴り響く。
その三発の銃弾は全て少年に命中していた。少年は撃たれた痛みで叫んだ。
「がァァァァァア!!」
少年を取り押さえていた教師も驚きでその手を緩める。教師から離れた少年は狂ったように走って距離を取る。
「今だ!」
エルドが合図を出す。僕は足の指先に力を入れ、体制を低くして駆けた。

(iPhone/Nin 3DS)
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105:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/17 18:34

落下したときとは違う浮遊感のような感覚。足に力が入らない。いつもの様に走ることができない。全て重い責任による緊張からだ。
「怜!伏せて!」
エルドが叫ぶ。僕はスピードを犠牲に体制を低くした。次の瞬間、銃声が二回響く。少し離れた位置にいた少年がさらに後方へ弾け飛ぶ。
僕は順調に教師との距離を詰め、教師の元に着くことができた。僕の役割はここからだ。
僕は教師に話しかける。
「大丈夫ですか!?怪我はないですか!?」
まるで救急隊員のようだ。教師は先程まで少年を押さえていただけあって意識ははっきりしていた。

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106:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/17 18:47

「お前なにやってるんだ!!」
教師から返ってきた言葉は僕が予想していないものだった。僕の質問に答えるどころか叱りつけてきた。
「なにって…助けに来たんですよ!あの少年は普通じゃない!一般人を巻き込めません!」
僕は訴えた。実力がどうであれ少年は教師が捕らえたところでどうにもならない。
「お前は一般人どころかこの学校の生徒だろ!教師はお前達を守ることも仕事の内だ!」
僕が一般人ではない理由を今証明できない。それでも教師の鑑と言える教師が現状況で前線にいる意味がない。僕は無理矢理にでもここから離れさせようと腕を掴んだ。

(iPhone/Nin 3DS)
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107:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/17 19:00

「俺は教師だ!あの生徒を正す必要がある!」
僕の手は簡単に振り払われた。
僕がもう一度掴もうとしたとき教師は一瞬、怯んだ。腕から血が流れていた。僕の手にも血がついていた。
「怪我してるじゃないですか!そんな腕じゃエモノを持ってる少年には勝てない!」
僕は大声で訴え続ける。生徒の言葉なんて教師に簡単に通るものではない。それでも僕はエルドに任された仕事を遂行するしかない。
「勝てるとか勝てないとかじゃないんだ。生徒が不良になったら生徒の為に正す。それが俺が教師になったときに決めたことだ。」
傷の影響か先程までの勢いは衰えていた。

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108:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/17 20:42

「先生、生徒は信じられませんか。」
僕はゆっくり話した。今日、教員紹介で初めて見た教師に言う言葉ではない。でもこの教師は生徒に対する思いが強い。響いてくれると助かる。
「その言葉は卑怯だな。俺が生徒を信じないことはない。が生徒を危険に晒すなんて持ってのほかだ。早く逃げろ。」
教師の腕からは血が流れ続けている。この間も教師は血を失うし、エルドは弾丸を失う。
「先生、あそこで銃を撃ってる男が見えますか。あの男は自分を殺してまで人を助けるような人間です。僕はそんな男にこの役割を任されました。今、彼は応戦しています。あなたが退かないと終わらないし始まらない。」

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109:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/17 21:29

僕は血を失いつつある男性に静かに訴える。
「…ひでぇな。こんな状況で脅すかよ。」
教師は笑いながら言う。
「仕方ないな…。生徒に危険に晒すことになるなんてな…不甲斐ないな。」
教師は諦めの表情に変わる。僕は安堵していた。エルドの助けになれた。何も邪魔せず作戦を続行できる。
「じゃあできるだけ遠くに離れてください。厳しいなら手を貸します。」
僕ははっきりと言葉を発する。教師は片手を膝につき立ち上がった。見たところ腕以外に外傷は見られない。歩いて移動できそうだ。

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110:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/18 01:40

エルドの銃から鳴り響く銃声がいきなり増えた。どうしたのだろう。
僕は教師の怪我をしていない方の腕掴み前を向いた。するとなぜかその腕が重くなった。僕は後ろを向いた。
教師は瞳孔が開いていた。口も大きく開いていた。そしてそんな教師の後ろには鮮血と言えるほど鮮やかではない赤黒い血にそまった例の少年がいた。
少年は自分の右腕を後ろに引いた。その右手にしっかりと握られているのは赤く染まったカッター。
少年がカッターを引き抜くのと同時に教師は倒れた。僕は現状を理解できず呆然としていた。

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111:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/18 23:26

教師を見ていた少年がいきなり僕を向く。少年は狂ったような笑みを浮かべている。
「お前も死ねばいいんだ…。」
僕は動けなかった。少年は教師の左側を回って歩いてきた。一歩一歩僕はピンチになる。それでも僕は蛇に睨まれた蛙のように身動きができない。
残り2m。僕との距離なんて一、二歩で詰めることができる。
瞬間、少年が前傾姿勢になり僕に向かって駆けた。僕は反射的に身を後方に引くがそれで間に合うはずがない。
僕の胸にカッターの刃先が触れる。僕は現実から目を背けるように目を瞑った。

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112:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/18 23:39

「怜!」
エルドが叫んだ。僕は目を開いた。
次の瞬間、少年が弾け飛んだ。銃声が少し遅れて響く。銃声は一回。僕は状況を把握するために少年を見た。
少年は足を撃ち抜かれていた。制服のズボンに血が滲む。少年は傷口を押さえながら地でもがく。
「クソがァ…痛ぇ…痛ぇ!」
少年はもがきながもエルドを睨む。当のエルドは僕を見ていた。
エルドがまた声を出す。
「怜そこは危険だ!私ももう弾が少ない!引いてくれ!」
だんだん傷が癒えていく少年に警戒しながら僕はエルドの元へ向かった。エルドも僕の元へ駆け寄り状況を見ていた。

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113:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/19 01:08

すると少年は傷が完治したのかゆっくりと立ち上がった。先程までもがき苦しんでいたとは考えられないほど黙ってうつむいて立っていた。その手には相変わらずカッターが握られている。
少年は両手でカッターをしっかりと握った。エルドは残弾が心もとない拳銃を構える。だが少年がこちらへ近付いてくる様子はない。
「…次は何をするつもりだ…?」
僕は静かに呟いた。
すると少年が動きを見せた。エルドの目が鋭くなる。エルドにも次の行動は読めていないようだった。少年はカッターを持った手を徐々に上に持ち上げる。少年は肩で息をしていた。

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114:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/19 01:24

「あああああああああ!!」
少年は叫ぶ。それと同時に少年はカッターを首に突き刺した。大量の血が地面に流れる。少年の足元に血が広がる。少年は次にそのカッターを引き抜き、腹部に刺す。首の傷口から流れる血は現実のものには思えないほどの量。カッターが刺さった腹部からも血が溢れる。腹を裂くという点においては切腹と近いものがあるが潔さはない。少年は吐くように咳をする。周囲は少年の血だけで染まる。
「これで終わりになるなら…。」
少年は声を擦らして呟いた。制服のほとんどが赤く染まっている。

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115:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/20 13:13

「…これはどういうことだい…怜。」
エルドは困惑していた。エルドは僕からの連絡があって駆けつけただけであって少年の詳細までは知らない。
少年は自分を傷つけ続ける。その傷は切り裂かれては癒えていく。いたちごっこだった。少年は死ぬことはない。死ねない。
「あいつは多分自殺志願者だ。恐らく屋上からだが落ちていくのが見えた。」
死ねない自殺志願者なんて皮肉だ。
「そうか、なら調度いいかもね。」
エルドは悲しそうな表情を見せた。エルドの言う"調度いい"はあの日の事件を起こした理由のことだろう。
きっとエルドはあの少年を殺すつもりだ。

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116:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/21 01:50

「エルド…殺るのか…?」
僕は一応の確認を取った。エルドは静かに頷いた。
少年はその間も自分の体を刺し続ける。手首を切り、脇腹を刺し、太ももを突き刺す。血は飛び散るが傷は癒えていくばかりだった。
「…なんでだよ。なんで死なせてくれないんだよッ!!」
少年は声を荒げる。先程刺した首はすでに癒え、声ははっきりしている。
見るに耐えない光景だった。先に機能を終えたのはカッターだった。元々何回も使い続けるためにあるわけではない。皮膚に触れるや否や力に耐えられず根本から折れてしまった。

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117:サテライトステロイド◆iFgf3b.7HnCW
01/21 02:00

「いくら傷つけても…いくら死のうとしても…死ねない…。傷が勝手に治っていく…。飛び降りたときもさっきもそうだ。僕はなんなんだよ…。」
少年は切り裂かれた手首を見つめていた。その傷口は糸で縫うように塞がっていく。
「君は自分が何か知りたいかい?」
エルドが少し離れた場所から少年に問いかける。少年はそれに反応するようにこちらを向いた。座り込んでしまっている少年は顔を歪ませていた。
「お前は…僕の正体を知ってるのか…?僕はなんなんだよ…?」
少年はすがるようにエルドに応答した。

(iPhone/Nin 3DS)
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